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刺繍着物の魅力

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繊細な着物の刺繍

お着物の印象を決める柄(文様)。この柄を作り出すのには、「染め」や「刺繍」「織り」といった技法があります。

「染め」がお好きな方や「刺繍」にこだわる方など、お着物通の中でもお好みのポイントはいろいろございます。

「染め」や「織り」の作り方はピンとこなくても、「刺繍」という技法は工法自体は広く知られていますので、皆さんなんとなく想像できるのではないかと思います。

「刺繍」には優れた色彩感覚と気の遠くなるような根気が必要です。着物の刺繍は特に奥が深く、長い年月を積み重ねて完成された知識や技術、またそれらを習得するまでにかかる時間は果てしないものがあります。

一枚の反物にひと針ひと針込められた職人の思いとともに、今日は着物の刺繍の世界について、お伝えしたいと思います。

こちらは白×金色の刺繍が施された最高級の刺繍訪問着です。

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訪問着 No.w-507

手作業の刺繍と機械刺繍

刺繍というと刺繍台を前にせっせと針を刺している風景を思い浮かべる人も多いと思いますが、現代の刺繍のほとんどはミシンによる「機械刺繍」です。これは着物の世界でも同じことです。

長い間手作業で行われてきた刺繍ですが、IT技術の発達により、コンピュータで制御されたミシンで刺繍を作ることが可能になりました。少し味気ない気もしますが、細かい模様も正確に再現でき、非常に効率が良く低コストで大量生産が可能ですので、近年では「機械刺繍」は欠かせない技術となっております。

一方で、職人がひと針ずつ手縫いする手作業の刺繍は、時間が非常にかかるものの、手作業でしか出せない高級感や肌触りがあり、希少価値が非常に高い分、根強い人気を保っています。

多めの糸でキツ目に縫われた機械刺繍と違って、手作業の場合は余計な仕事が入っていないため、柔らかで軽く、また糸の重ね方や色の深みの出し方など細かいところで見られる職人技は熟練のなせる技。人間らしい温かみ、柔らかい女性らしさも感じる事ができるのは手刺繍だからこそです。

また、一口に手刺繍といっても色々な種類・工程・技があり、刺繍技術は世界各国で独自の発展をしています。

着物の刺繍の歴史について

針と糸を使ういわゆる「縫い物」の歴史は大変古く、いつ生まれたのかは今もって定かではありません。世界最古の「刺繍」は古代エジプトの墓から発見されたとあります。

日本には仏教とともにシルクロードを通って中国から伝わってきたとされています。元々は宗教のためのものでしたが、平安時代には貴族の衣服の装飾や雅楽の衣装に活用されました。最初は白い生地の上に刺繍で模様をつけたのが、安土桃山時代では、染色技術の発達により染めた生地の上に刺繍を施すようになっていきます。
その後も江戸時代、明治・大正時代と、その時代に流行した技法やセンスが確立されていき、日本刺繍独自の文化を作り上げてきました。着物の繊細な美しさは刺繍技術の発展なしでは語れませんね。

日本刺繍とは

日本刺繍とは日本に伝えられる日本独自の刺繍で、正絹の生地に絹糸を両手を使って刺していきます。日本刺繍で使われる糸は、釜糸と呼ばれ4-12本の細い絹糸の束で、撚りがかかっていないものになります。この釜糸に職人が撚りをかけて光沢を表現したり、複数の色を組み合わせて複雑な模様の色合いを生み出していきます。

日本刺繍には型となる縫い方が40種以上もあります。線密で繊細、細部に感じる日本人らしいこだわりが日本刺繍の美しさにつながっているのです。

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『山口美術織物』の胡蝶蘭の刺繍の訪問着です。

訪問着 No.z-313

蘇州刺繍とは

3000年の歴史を持つ、中国の刺繍技術。なかでも「蘇州刺繍」は中国三大刺繍の一つで、世界でも類を見ない最高峰の刺繍とされており、他国と比べても群を抜く美しさと言われます。

・日本刺繍よりもさらに極細の糸(髪の毛よりも細い)を縫い重ねることで刺繍表面の盛り上がりがなくなめららかで綺麗

・両面刺繍という技法により表裏どちらから見ても糸の結び目がなく、どちらの面から見ても絵柄が綺麗

・生地表面がつっぱらないので、波立ちがなく綺麗

・糸の刺し方一つで表現される、まるで絵画のような美しさ。大変美しい光沢感

・一反の着物に50色以上の糸を使用

と、長い歴史と技術に裏打ちされた素晴らしい芸術作品で、「絹の絵画」とも呼ばれているんですね。

こちらは、桜と胡蝶蘭の蘇州刺繍の訪問着です。

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訪問着 No.z-519

汕頭(スワトウ)刺繍とは

汕頭はスワトウと読みます。「相良」「蘇州」に並ぶ中国三大刺繍の一つです。

中国の感性にヨーロッパの刺繍の技術が融合され生まれたのが「スワトウ刺繍」です。吸水性に優れた綿と麻の生地に刺繍をするのが特徴的で、豪華でありながら上品で美しいデザインは、世界的にも有名で価値も高いお着物です。

こちらは総汕頭刺繍のお洒落な訪問着です。

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訪問着 No.k-517

その他おすすめの刺繍訪問着

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訪問着 No.k-516

胡蝶蘭の刺繍が沢山入った豪華な訪問着です。

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訪問着 No.p-514

桜の刺繍が入った総刺繍訪問着です。

淡い水色とクリーム色のぼかしに桜の総刺繍の訪問着

訪問着 No.B-512

着物興栄では、一流の刺繍が施された着物を多数取り扱っております。総刺繍のお着物は大変高価なものもございますが、レンタル価格でお安くご提供しております。

刺繍の美しさは文章と写真だけでは伝わりづらいので、実際に見て触って感動していただけたらと思います。

刺繍着物をお探しの方は、お気軽に店頭まで見に来てくださいね。